試作・単品のウォームギアから製作
弊社では試作単品からのウォームギアの製作に対応いたします。例として樹脂で成形量産前の試作のウォームなどの製作が可能です。
最近ウォーム研削工程を短縮する依頼が増加傾向にあります。
研磨工程を省き切削加工にて、できるだけ精度を出す試みです。
それによるメリットは価格を抑え納期を短縮できることです。
歯型歯筋ピッチ測定をしながらお客様と共に研究開発を行っています。
従来のウォームギア加工工程 切削下切り加工⇒ウォーム研削
開発中のウィームギア加工工程 切削仕上げ加工のみ
ウォームギアとは
ウォームギアは、ネジのような螺旋状の歯がついた円筒状の「ウォーム」とはすば歯車(斜歯)の「ウォームホイール」の2つが直角に噛み合ったものを指します。ウォームは、1条のものが一般的ですが、複数の条を持つものもあります。ウォームギアは、2つの回転軸が交わらず平行でない「食い違い軸」の歯車です。ウォームの名前の由来は、芋虫を指す「Worm(ワーム)」からきています。
円筒ウォームギアでは効率が低くなりますが、弊社では効率の良い、鼓形ウォームギアの製作も承っております。
ウォームの軸を中心に回転させる動力を加えると、ネジをしめこむような形でウォームホイールをゆっくりと送り回転させます。ウォーム側からは回転させられますが、ウォームホイール側から回転させようとしてもセルフロック現象が発生し動作しない、少し変わった性質を持つ歯車機構です。この点に関しては後ほど詳しく解説します。
- 弊社対応可能サイズ(mm)
- Φ100まで、L400まで
ウォームギアの特徴
ウォームギアには次のような特徴があります。
■メリット
減速比が大きい
出力トルクが強い
動力の方向を変えられる
バックラッシが少ない
セルフロック現象が発生する
■デメリット
摩擦熱や摩耗が発生しやすい
ウォームギアのギア比は10:1~100:1程度がよく利用されています。つまりウォームホイールを1回転させるためには入力側であるウォームを10~100回転させるのが一般的ということです。平歯車の組み合わせではギア比の下限は10:1程度です。比較するとわかるように、ウォームギアは回転スピードを減速させるのに最適な機構と言えます。減速比が大きいこともあり、回転トルクも入力トルクに対して非常に高くなります。
ウォームギア機構は正転、逆転のどちらでも正常に動作します。そのため、動力の回転方向が切り替わる場合でも利用できるのが特徴です。また、バックラッシも他の歯車機構よりも小さくしやすいので、位置精度が気になるような場合でも利用しやすいでしょう。
ウォームギア機構では、ウォームホイールから回転させようとしても回転できなくなる「セルフロック現象」が発生します。(ウォームの歯が3条などで進み角が大きい特殊な場合、セルフロックは発生しません)この特性を利用すると、万が一、動力源が故障してしまった場合であっても、自動的にセルフロック現象が発動し、安全装置として機能してくれます。エレベーターの巻き上げワイヤーの巻取り機構として実際に利用されています。
便利な性能を持つウォームギアですが、摩擦や摩擦熱の発生により焼け付きや摩耗を引き起こしやすいデメリットもあげられます。
ねじ歯車との比較
ウォームギアと同じ「食い違い軸」の性質を持つ歯車機構に「ねじ歯車」があげられます。
簡単に違いと使い分けを紹介します。
ウォームギア | ネジ歯車 | |
トルク | ○ | △ |
省スペース性 | × | ○ |
減速比 | ○ | × |
価格 | △ | ○ |
上記のような特徴から、ウォームギアはトルクや減速比を求める用途の際に向きます。省スペース性を重視する場合やコストパフォーマンスを重視する場合はねじ歯車を採用したほうがいいでしょう。
ウォームギアの利用用途
ウォームギアが実際に利用されているのは下記のようなものに利用されています。
・モーターの先端部品・開閉弁・減速機
・エレベーターのワイヤー巻き上げ装置
・弦楽器のペグ
ウォームギアの作り方
ウォーム、ウォームホイールの作り方には、大きく分けて3つの加工方法があります。
■シングルカッター加工
歯溝と同形状をした「3形」と呼ばれる刃物を使って、歯溝を1つ1つ加工していく方法です。精度は後述のインボリュートホブ加工よりも落ちますが、専用機でなくても加工できるため少量生産の場合において、コストパフォーマンスに優れています。
■インボリュートホブ加工
ホブと呼ばれる「3形」の刃が3条以上並んだ刃物を使って、歯車全体の歯溝を少しづつ回転させながら切削していく方法です。歯車全体が均一に仕上がるので歯車の精度が高いのが特徴です。ホブ盤と呼ばれる機械を使って加工します。量産加工時の加工速度が早く、量産加工に向きます。
■ボールエンドミル加工
マシニングセンタを使って、ボールエンドミルなどの刃物を使って切削していく方法です。専用の刃物を使用する必要がなく、形状の自由度も高いため、モジュールの異なる歯車であっても同一の刃物で加工ができます。特殊な形状の歯車、歯車の試作品の作成に向いています。
これさえ決まればウォームギアは作れます!!
①減速比
②トルク
③サイズ感 径・長さ
上記から導き出されるもの
1.モジュール
2.条数
3.ピッチ円
歯車名称
モジュール:歯の大きさ
歯数:歯の数
ウォームの場合:1ネジ=1条 , 2ネジ=2条
ピッチ円(PCD):中心距離の元となる距離。軸に垂直な平面とピッチ面とが交わってできる円。
多条ウォームギアとは
歯数2枚以上のウォームのことを多条ウォームと言います。歯数を増やすことで伝達効率を上げられますが、その分トルクがかかります。弊社では24条までの多条ウォームの製造が可能です。
ウォームホイルとは
ウォームホイルとはウォームに噛み合う歯車のことです。弊社ではウォームギアとウォームホイルどちらも製作を行い、噛合試験機による検査にて性能試験まで行うことができます。
予備知識 <クラウニングとは>
クラウニングとは歯を上から見た時に点であたるようにすることです。静音したいときやころがりの感触を良くしたい時に考慮します。
製作事例
-
- 部品名
- 平歯車
ウォームギア - 材質
- C3604
- サイズ
- Φ5×30L
- モジュール
- 0.5
- 備考
- 一体加工
-
- 部品名
- ウォームギア
- 材質
- SUS303
- サイズ
- Φ8×20L
- モジュール
- 0.4
- 備考
- 切削1級
-
- 部品名
- 平歯車
ウォームギア - 材質
- SUS304
- サイズ
- Φ3×50L
- モジュール
- 0.2
- 備考
- 一体加工
-
- 部品名
- テーパーウォームギア
- 材質
- SUS303
- サイズ
- 50L
- モジュール
- 0.5
ウォームギア用の性能試験に対応
ウォームギア・ホイル用の歯当たり試験機にて製作後の性能試験を実際に組んだ状況を再現可能です。
試作・単品からウォームギアについてお気軽にご相談ください。